服部 細かくなる割に間違ってる(笑)っていうあたりが、あの「都市伝説」の話で、それで細かくなる割に間違ってるっていうあたりでは、「ベッドのしたに何か潜んでいる」っていう話が、そのパターンの話があるんですけど、日本ではだいたい、どこかに旅行に行きました、が多いんですけど、とにかくペンションに旅行に行きました。で、ベッドがあって、鏡があるんですね。芸が細かくなってるわけですよ。鏡があってそこで2人、3人でいて2人の女の子がベッドの上にいて、1人の女の子が髪をとかしていました。その女の子がいきなり「私、ジュースが飲みたい。買いに行きましょう」って。「いいじゃないよここにあるので」「嫌、これじゃ嫌、絶対に行きたいの、どうしても行きましょう」って言ってざーっと連れて出ていくと。で、外で駆けだしていって、で110番して、「今ベッドの下に鎌を持った男がいたんです。鏡に映ってたのよ」、っていうお話があるわけですよ。で、これがまぁ、いろんなパターンがやっぱりあるんですけど、下宿だったりとか。で、それがでも、持ってる物がま、「鎌」これはいいですね。ちょっと「斧」、ちょっと持ちにくいけど、まぁいいでしょう。(笑)そのうち「鍬(くわ)」(大爆笑)
玲沙 服部さんとこにきた手紙に書いてあったんです。
服部 違いますよ。私は聞いた話なんです。
玲沙 聞いた話なんですか。
服部 聞いた話なんです。
玲沙 手紙じゃないんだ。
服部 それはね、それは本当にね、その話を聞いて、
− 鍬!
服部 鍬は!なぜ鍬!?
− なんか、今のは農具ですね。(笑)
服部 そうなんですよ。いやー、鎌、斧…鋤(すき)の方がまだいいと思うんですけど。(爆笑)だいたい鍬大きいじゃないですか。あんな大きな物を持ってベッドの下にこうやって待って。(笑)何を耕すっていうんだか。っていうぐらいの、話してる人はもうよくわかんないんですよね。鍬どんな物だとか、(納得の声)でもそれ大人ですよ、30過ぎの。私が話し聞いたのは。
− 鎌が多いんですか?
− 本人の中で「鎌」って言ってるつもりが、「鍬」に化けた。
服部 どうですかねぇ。
− 鎌と鍬の、文字の区別が付かなかったんだと思います!(爆笑)
− それは言える。
玲沙 鎌も鍬もちょっとねぇ。聞いたとき違うと思うんですけど。
− でも今だったら、鎌でも鍬にしてもみんなカタカナで書いてますよ。
服部 でもそれは聞いた話なんです。
玲沙 聞いた話なんですよ。字面じゃないんです、問題は。
服部 どんどん曲がっていっちゃうんですよね。要するにだから話してるうちに、鎌も、斧も、鍬も、よくわからなくて、まぁ。
玲沙 最初は鉈だっていうんですよ。
− ああ、鉈ね。(どよめき)
玲沙 でも鉈知ってる人少ないんですよ。
服部 鉈ね、鉈難しいですよね。鉈知ってる人は少ない。(ホワイトボードに図を描きにいく)意外とわからないんですよ。小説なんか読んでても「長い棒の先に刃のついた」って風に書いてあるんですよ。でもそれはね斧です。こういうやつ。鉈っていうのは柄(え)が短いです。刃が長いです。これが鉈でね、こっちは斧ですね、鉞(まさかり)ともいいますけど。
− 鉈は包丁の大型のやつ。
服部 で、これがこう、すごく分厚くて、重くて、バーンて木とか枝を、
− 薪を割ったり。
玲沙 そう、薪を
服部 最近の小説もうわかんなくなってます。長い柄がついた鉈って書いてあったりするんですよ。(大爆笑)
− それは見たい。
(大爆笑)
玲沙 こんな遠くに薪置いて、(大爆笑)
服部 その小説はとっても面白かったんだけど。
玲沙 小説はね。ともかくそれは。
− 絵的には面白いけど
服部 恐い話なんです、それは。シリアスなすごく恐いシーン。長い柄のついた物を持っているわけですよ。で、斧かなって思ったら「鉈」って書いてあるんですよ。(爆笑)
− 確かに恐いわ。
− 絵的には面白い
− 恐い。
− 長刀(なぎなた)じゃないんですか?(爆笑)
− でも大っきい刃じゃないよな。
服部 鉈も斧も鎌も鍬もあまり区別が付かなくなっていうあたり。
玲沙 ずれていったんじゃないかなって思うんですけどね。どんどん飛んできちゃうと、なんか「ベッドの下に住んでた」とかね。(爆笑)
服部 ベッドの下もすでになくなって、「机の引き出しに」(爆笑)
− ドラエモンだよ。
− ドラエモン。
玲沙 私、机の引き出し計ったんで、8pしかないんですよ。(爆笑)どうやって人間入るんだか。信じてんのかなぁ。
− でも恐いですよね。
玲沙 恐いですよ。開けて顔があったら、すぐ閉めますよ。(爆笑)
− 長い柄のついた鉈を持ったドラエモン。
玲沙 ドラエモンも恐いかもしれない。(爆笑)
− それが幅8pくらいしかない、机の引き出しから出てきたんだ。
玲沙 机の引き出しもそうですけど、読んだときはこの人信じてるのか信じてないのかちゃんと書いてくれないかなぁ。(爆笑)
− そりゃ信じてないとは思うけど。
− そりゃ創作ですよ、創作。
服部 知ってる話を書いてくださいって、とりあえず書きましたんで、私なんかも1つも信じてませんけど、知ってる話はいっぱいありますから。それも面白い話なんですよね。要するに「知ってる話を書いてください」っていうアンケートしたんですけど、「いや、信じてないから書けません」って言う人もいるんですよ、これが。「いや、信じてなくてもいいから知ってる話を」
− あ、じゃぁ知ってる話をどんどんくっつけちゃうか。
− 「住んでる」っていうのは、「人間椅子」じゃないのか。
− そうそうそう。江戸川乱歩の。
玲沙 私も読みましたけどね、「人間椅子」
− ただそれが、椅子が机になったのはすごいなと思う。(笑)
玲沙 机に住んでるかどうかまで知りませんけど。
− 椅子の中だったら確かね、人間入れる。
− ベッドの下にイヌがいるって話なかったっけ?
服部 外国の話ではそれってあれですよね、イヌに指を舐めさせる
玲沙 それは知ってます。イヌに指を舐めさせる話
服部 あのねこれは外国の話になりますけど、イヌを飼っていて、泥棒よけのために。寝ているときにイヌがペロッと手を舐める。それで安心して寝ていたっていう人がいて。今日もペロッと手を舐めたんで安心していたら、翌日起きたらイヌは殺されて浴室に吊られていて、そこに人間だって舐めるんだぜって書いてあった。
(大騒ぎ)
− うわーっ!
− 恐えーっ
− やだそれー
− ストーカーだよストーカー。
− 気持ち悪うー
玲沙 アメリカの話はあまり知られてないですねぇ。
服部 これはアメリカの都市伝説の本に出ていた話ですね。だからこのバリエーションに入ってくるんだと思うんです。ベッドの下の。鏡に映るっていうのが日本版の独創なんですけれども。
− それはTVの見すぎだよ。
服部 あと、でも「チョーキング・ドーベルマン」って話があって、クローゼットの中にそれは入ってるんですけれども、それはイヌがある日うちに帰ったら、イヌがのどに何か詰めてゲーって苦しがっている。ドーベルマンを飼ってる人が。で、大変大変!って。ポチが死んじゃうーって。(爆笑)
− ドーベルマンがポチ。
服部 ポチはうちのイヌの名前なんですけど、(笑)
玲沙 でもシェパードですよ。(爆笑)
服部 それが!獣医に連れてきますよ。で、獣医はイヌののどを開いて、何か詰まってるってやったら、人間の指が入っていた。(どよめき)で、要するに警察を呼んで家の中を調べたら、クローゼットの中に犯人が、指をなくしてこうやって隠れていた、っていう話。これもやっぱりアメリカのそういう都市伝説にはいりますね。
− でも犯人も悠長ですね。
− 逃げろよ。
服部 いやそこらだから辺がもういい加減な話なんですよ。
玲沙 「潜んでる人」の話なんですよね。その話っていうのは実は1度医者に預けて、その人うちに帰るんですよ。帰ってきたとこで医者から電話があって、
服部 そうそうそう。
玲沙 「すぐにそのうちを出なさい。イヌののどから黒人の指が出てきたんです」(納得の声)これで向こうの人わかるんです。黒人でわっかっちゃうんです。黒人が要するにあなたの家の中にまだ潜んでいるはずだから、すぐそこから出ろって言う話。黒人なんです、絶対ね。絶対黒人なんですよ。
− 白人でないわけだ。
− それ日本の話で最近聞いたけどな。
服部 あっ、日本にも移植されてますか。(爆笑)
− 移植。
玲沙 どこです?場所は。
− いや、場所は知らないけど、多分都市伝説で、無言電話があってずっとかかって来るんで警察に調べさせたら、「すぐに家を出なさい。あなたのうちからかかってます」ていう。
(どよめき)
− 聞いたことある。
玲沙 それは、
服部 それはあります。
玲沙 アメリカの話ですね。
服部 それはね、2階建てのうちの話なんですよ。
− そうそう、そうだそうだ。
玲沙 ベビーシッターの話です。
服部 うん。
− いや、私らが読んだのは、別荘に遊びに行ったら、
玲沙 日本の話ですか?
− 確かなんか「本当にあったなんとかの話」(爆笑)しかも読者の体験談で、(爆笑)
玲沙 どうぞ。
− なんか2階、うちにいて電話をとったら「殺してやる、殺してやる、殺してやる」っていうのがあって、へっとか思って気持ち悪いから逆探知してもらったら、そのうちの2階の別荘の、親子電話のところからかかってたましたっていう話だったんですよ。
玲沙 日本の話になってますね。
服部 なってますね。うん。これはアメリカの
玲沙 これはやっぱりアメリカの話で、ベビーシッターの話なんですよ。ていうのはアメリカは「男の子は芝刈りに女の子はベビーシッターに」って言われて、(大爆笑)2大アルバイトなんですよこれが。で、女の子がベビーシッターにいくわけですよね。教訓含まれてるんですけど、実は。その子が2階に子供達を追い上げて、自分は下でTVを見てるんです。いきなり電話がかかってきて、電話をとると「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」って声が聞こえるんです。で、気持ちが悪いって切るわけですね。何回かかかってきて警察にやっぱりお願いすると。さっきの話と同んなじように。そうすると、逆探知してもらうと、「すぐそこから出なさい。あなたのうちの2階からそれはかかっています」で、実際2階では子供達が惨殺されていた。
− うわーっ。
玲沙 ベビーシッターをさぼっちゃいけないっていう話なんです。(爆笑)
− 殺されちゃったんだ。
玲沙 殺されちゃうんです。
− ただ騒いでいたんじゃなくて。
− 犯人からの。
玲沙 そう、もう犯人は多分逃げちゃったんだろうっていうとこまで、それは想像に入っちゃうんですけどね。そこで話はブツッて切れちゃう。
− 親の名前でかかってくるっていうバージョン、聞いたけどな。預けたはずの親が「子供は寝たか?」ってかかってくる。で「寝ました」って言うんだけど最後に「そんなはずはない」
− あーっ(どよめき)
玲沙 それアメリカの話ですか?
− それはアメリカの話。
− それ恐いよ。
− なんか教訓より恐いよそれ。すごい、
− そんなはずはない。
服部 いや逆探知するっていうこと自体が、しかも親子電話で逆探知ってこと自体が、
− できんの?
服部 不可能じゃないですか。だからそこが不可能なんで、その話は決定的なそういう傷があって、それをあまりわかんない人しか、要するに信用できない。
− でもISDN回線ならできるのかもしれない。(爆笑)
服部 できないと思いますよ。アナログは同じの
− できないよね。
− 全世界のサイトを回り回り回って、
玲沙 どういう犯人なんですか。(笑)警察も大変だな。
− 別々の番号で登録してあれば、2階から下へ、
玲沙 ただたいていまぁ親子電話になってるんですけどね。室内でね。
服部 親子電話っていわれちゃうんですけどね。
玲沙 言われてるんですね、必ずそうなっているんです。でもやはり日本に来てるんですね。知りませんでした、私。
− ただねマンガで言われてる読者の体験、恐い話。あれほとんど作り物だってね。
玲沙 そりゃその通りです。はい、現場にいます。
− ああ、どうも。(大爆笑)
服部 私の仕事はホラー漫画家なんですけれども、今現在。えーと、まあその、あの辺にも同僚が。
− でもあの出版社によって読者からのお手紙を、なるべく忠実に描いてくださいって言うところと。
− そういうとこあるんですか?
− ええあります。ただその読者の手紙が、それこそ誰が見てもすごくよく聞く都市伝説だったりとか、思いこみだったりとかいうのがありますけども、それは置いといて「これをなるべく忠実に」と言うところと、かなり作って、とにかくさっきのメディアの話じゃないですけど、面白くしてくださいと言うところとそれははっきり、この会社はこう、この会社はこうって。
− ああそう。
服部 そのまんまだとほとんど話にならなくて、使えないって物がまぁ多いわけですね。子供がくれるお手紙が多いですから。で、もっとひどいのはこれも私の経験談で、ここ(恐い話の本)にも描きましたけども、マンガ描いたんですよ。ショートショート。16Pぐらいの短い話で。で、それを描いて、それはオリジナルの創作のフィクションです。ショートショートのホラーマンガですね。で、それから、なんか1ヶ月半ぐらいして出た本の、読者の恐怖体験に同んなじ話が載ってました!(大爆笑)別の本なんですけど、何故私のマンガがここに載ってる!恐怖体験に!(笑)
− あ、じゃあパクられたんですか?
服部 そうなんですよ!どうみても。わかんないですよ、だからどこの段階でパクられたのか。パクられたことは間違いないです。ディティールまで同んなじなんですよ。要するに私が描いた話は高校生の男の子が主役で、まぁなんか友達のうちに遊びに行ったつもりが、実はお墓に行っていたって話だったんですけど、まぁそれだけの話です、短いから。だけど読者の恐怖体験では子供になってるんですよ、それが。小学生になってるんです。そこだけが違っていて、で、夜なんですよ、だから行くのが。夜行くためにいろんなセッティングをしてるわけですよ、私は。物語を作る段階で。どこか遠くに引っ越してしまったお友達のうちに遊びに行く。だから旅行の途中で寄りました。旅行の途中で寄って今夜の夜行であっちまで行くから、途中で寄って夜の12時の夜行に乗るから、10時には帰りますみたいな話だったんですよ。だけどそれ小学生になってるんです、読者の恐怖体験は。小学生が10時まで、2人だけでお友達のうちに行っちゃってるんですよ。遠くなんですよ。知らないうちなんですよ。バスに乗って。(大爆笑)
− 親が許さない。
服部 少なくとも私は許しません!(爆笑)だからそれは、リアリティを作るために、フィクションはすごい苦労するわけですよ。高校生の男の子2人ならいいだろうとか。旅行の途中に寄ってもいいだろうとか、知らない土地に行くためにって、すごく遠い知らない土地だっていうことがやりたかった。でもそういうこと全部すっ飛ばしてるわけですよね、恐怖体験のは。なんだけど妙にその10時っていう時間とかが(爆笑)地名は一緒だったり、バスに乗っていく先が一緒だったり、あとなんか団地、団地なんですよ、団地なんですけどホントはお墓だから、団地の入り口に花がこうやって置いてあるっていう話があったら、なんか花が置いてあるとか、そういうディティールだけがすごい同んなじで。そっくり、同じ同じ、何故?実際どの段階でパクられたのかわからない。要するに読者がその話を書いて送ってきた可能性もあるわけですよ。
− そうですね。
服部 あるいは編集が、(笑)そういう話を読んで、まぁそのままパクったか、頭の中で再構築されちゃってパクったか、よくわからない編集の人がやったって可能性もあるんですよね。まぁあとライターっていうか、原作っていうか、そういうのを作ってる人がいるんで、その人がやったって可能性もあるし、漫画家本人がやったっていう可能性もあるし、どーこーでやられたかわからないけど、とりあえずこれがま、フィクションーフィクションならまだしも、フィクションー実話!(爆笑)
− 現実(リアル) になっちゃうわけね。
服部 つまりそれを読んだ子供は、まぁ実話かなっていう風に思うわけですよねぇ。そういう風になんか別に意図しなくても、ホントの話ですってみたいに、もっていかれちゃうことがあるっていう。
− 昔ムーの投稿でね、諸星大二郎のパクリがあって、それは読者から投稿がバンバン来たよ。「あれはパクリです」つって。それでお詫びが載ったの。でも他の雑誌では、編集部遊びに行ったら「 やってんだよ、面白いだろー」って言われたことありますけどね。(笑)それはムーじゃありませんよ、もう今なくなったの。まぁそう言えばわかりますね。(爆笑)
玲沙 まぁなんかね、あのーあれは友達が聞いてきたんですが、まだ「リング」がTVドラマになってなかった頃に、「なんだかそういう見ると1週間後に死んでしまうビデオがあるらしいわよ」って話してるのを聞いて、側で聞いてた人が「それはリングだろう」って。(大爆笑)そうやっていつの間にかホントの話として流通してたっていうね。
− ああ。(納得の声)
玲沙 だから「リング」はその噂から来たんじゃないかとか、違うこっちが先だって。(笑)
− それっていわゆる噂話がいつの間にか なったりとか、あとなんかいろいろとこういうことがなったりとかしますけど、いわゆる学校のよく7つの怪談とかってあるじゃないですか、何故か七不思議って7なんですよ。8とかってないんですけど、七不思議ってどこにでもあってそれが全部知っちゃうと死んじゃうっていう。
− ああー。
− ありますよね。あれっていうのは、でも誰かみんな知ってるのって、7個以上知ってるんですよ。
(爆笑)
− ああ、何個だったんだぁって考えると、10個だったりとか。(爆笑)死んでないやん。(爆笑)だからあれは全部知っちゃうと死んじゃうっていうのは、どこから来てるのかはわからないけど、みんななんかそういう形で、多分あれは数が、
− それは百物語、100終わったら恐いことが起こるっていうのと同じで、(納得の声)七不思議だから7つを知っちゃう段階で恐いことが起きる。恐いことって=死ぬことだったんじゃないのかなぁ、それは。そう考えたら不思議でもなんでもないんだけど、ただ不思議に思うのはみんな怪談って同じなんだよね。階段が13個ある。(爆笑)夜中になったらピアノが勝手に。
− そうそうそう。
服部 笑うベートーベン。
− ベートーベン(爆笑)
玲沙 なんでベートーベンなんでしょうねぇ。(爆笑)
− あんまりシューマッハーとか飾ってないからじゃない?(爆笑)
玲沙 ベートーベンやっぱ顔恐いからですかねぇ。(爆笑)
− 確かに険しいですよねぇ。
玲沙 シューベルト
− モーツァルト。
− モーツァルト、あれは相当、放蕩の限りを尽くして死んじゃったんだから。そうすると本望じゃないかな。
− は昔渡り廊下に て有名なんだ。そこで殺された用務員さんが
玲沙 まずいなだんだん霊の話が。(大爆笑)霊の話は厳禁のはず!(爆笑)
− それは初めて聞くけど、とりあえず13階段とか、そのピアノ?それから有名なとこでは人体模型が踊る?(爆笑)それからだから今言ったように肖像が笑うとか泣くとか、それは美術室だったり音楽室だったりいろいろなんだけど、音楽室の場合はピアノが鳴らないんですよね。たいがい美術室で笑うと、音楽室ではピアノが鳴る。(爆笑)
− ピアノが鳴るより鍵盤に血が。
− それは最近なんです。昔はそんなの無かった。最近になると小学生リアル求めるんでしょうね。ピアノから血が流れるようになって、今はどういうわけか体育館でバスケットボールの音がする。(納得の声)昔はバスケットボールなんて流行ってないから。(爆笑)
− でもなぁ前聞いた時はピアノが鳴って、音楽室に行くとピアノが鳴らなくて、ベートーベンの額を見ると目が動いてた。
玲沙 なんかだんだん学校の怪談の話に。(爆笑)
− 1番身近なんだもの。
服部 でちょっと今までの「都市伝説」とは、ちょっとずれるんですけれども、もう1つ「現代妖怪」という風に、私たちが仮に呼んでいるものについての話の方にちょっとだけ。
玲沙 ちょっとだけ、もう20分間しかあとないんで。
服部 ちょっとお話ししたいと思うんですけども、「現代妖怪」は、これはだいたい子供が語るものですね。
玲沙 主に子供なんですね。
服部 で、あの「学校の怪談」と密接に。さっき、話の中に出てきた口裂け女、これも私たちは「現代妖怪」という部類に入れてるんです。それは何故かっていうと、口裂け女、人面犬、テケテケ……テケテケはご存じない人いますか?
− 知らない。
服部 知らないですか?あのー基本的にはテケテケは、下半身のない上半身だけの人間で、
− ああー、それは新しいな。
服部 時速150qで、(爆笑)
玲沙 誰が計ったんだ!(爆笑)
− だってね僕らが知ってる、要するに子供の頃聞いたテケテケさんっていうのは、
服部 え!子供の頃聞きましたか?
− 聞いてるよ。昔からテケテケさんてのはあるのよ。名前としては。
服部 はあ!
− 夜中歩いてて、後から誰かがついて来る。
− それベトベトさん。
− ベトベトさん。
− べとべとさんでーす。
− いやベトベトさんとも言うんだけど、
− え、そうなんですか?
− バリエーションあるんだ?名前が違うんだ?いろいろと。
− うちらはテケテケさんって言ってたの。だから下駄の音がするから、テケテケさんっつったんだと思うんだけど。地元だけなのか知らないよ。下駄の音がカランコロンカランコロンするでしょ?自分は草鞋しか履いてないから、自分の足音じゃないなってふっと止まったら向こうも止まる。振り返ってもいない。でパーッと走ってくとそのカラコロカラコロ、テケテケテケって走ってって、追い抜かされちゃうと、死んじゃうよっていう。
− あー。
− テケテケさんどうぞお先にとか。
− 妖怪じゃない。
玲沙 だから結局「追いかけてくる妖怪」なんですよ。「追いかけてくる妖怪」と「速い妖怪」っていうのは、実はたくさんいまして、「100qババア」とかね。(大爆笑)すごいですよもう。で、テケテケって言うのはこれは、私が初めて聞いたときには、まだ名前はありませんでした。学校になんか忘れ物を取りに行くんですよね。そうするともう暗いんで、誰もいなくてすごく寂しいなと思ってると、1人だけ教室のところでこうやって外を見ている子がいるんですね。
− あーはいはい。
玲沙 まだ誰か残ってるんだっていって、その子は一応忘れ物を取りに行くと。で、帰りにふっとその女の子のいる教室のところに、こう覗いてみるんです。そうするとその子がこうやってやってるんだけど下半身から下が無い。無いって思った瞬間にその子はくるっと振り返り、こうやって、(悲鳴と喧噪)(爆笑)
− こえーっ!
− やめてやめて。
玲沙 これねこれね絶対ね、喫茶店とかでこうやって対面でこうやってやると、(爆笑)悲鳴あげますからね。
− 恐いなー。
服部 「キング オブ 怪談」と私たちが呼んでいる、(爆笑)ただ恐がらせるためだけに存在する怪談ってやつですね。わっ!って驚いて、お前だ!ってやつ。
− あぁあぁ。
服部 それの1つのパターン。
− よくできてるよね。お前だ!よりよっぽど上品だ。
− よくできてるよねー。それに電気も消すってできてるよ。(爆笑)
玲沙 ところがそれがどこをどう通ってきたのか、実はこのあたりが皆目なんです。子供からの全然情報がないんでわからないんですけど、まず私のところに名前から来たんですね。テケテケって名前から来て、でどうもそれがやっぱりこういう、化け物だったんです。ただし私が聞いたのは女だったんですけど、男だったんです。でバリエーションとしては他にも鎌持ってるとかなんか。(大爆笑)そう、鎌持ってどう走るんだ!(笑)鎌持ってて下半身切られそうになった話とか、いろいろとちょっとバリエーションあるんですけど、それがテケテケと呼ばれ、はいなんでしょう。
− 学校に行ってた時に電車通学だったんですけど、私たちの時はそれは電車についてくるんですよ。
(爆笑)
− 電車?
− しかもつまり時速80qぐらいで走ってる電車のはずなのに、いざってくるんですよ。こういう状態で。
玲沙 こういうのもありますよね。
− そうそう。(爆笑)
− すごいな。
服部 で、電車のどこ、後をついてくるんですか?
− 後、だから振り向いたら、いた!みたいな感じで。
− それが昔電車に轢かれて足が無くなった人とかって。
服部 そうそう、テケテケの話のね、1つのバリエーション、多分最初の頃の名前のない話の中で、電車に轢かれて死んだ人がいて、その人が体半分切れてしまって、手でこうやって、なんか知らないけどその辺よじ登ったっていう。
− 無理だよー。
服部 それが私の先生の友達が見た話です。(大爆笑)
玲沙 先生はホラ吹きです。先生のいうこと信じちゃいけません。
服部 いや、だからその場合はテケテケとは言われてないし、それが学校に出るって話でもなかったり、まして時速150qって話はないんですよ。(爆笑)
− 誰がつくったんだろう、それ。
服部 誰かこういろんなところから上がってきたものが、なんとなく構成されて、最終的にそのテケテケっていう名前で、統一されて出てきたものが、学校の中を走り回っていると。
玲沙 それはでも学校だけなんです。道路とかは走らないんですよ。(どよめき)と言うわけで「学校の怪談」っていう映画がありまして、その中にも花子さんと、口裂け女は出てましたっけ?出てますね、口裂け女と、テケテケは出てくるんです。きっちり。ただし、それ見たことある人いますか?
− ない。
玲沙 私は実は資料で見たんですけど、なんで資料?(笑)資料で見たんですけど、そのテケテケはどういうテケテケかって言いますと、鎌をこうやって、鎌を持っていて、こちらにはさみを持っていて、で、実は下半身切れてないんですよ。で、人間のような顔はしてるんですけど、カエルみたいな感じで、人間ですらないんですよね。で、どうしてこうなったのかなぁっていうあたりで、そこでちょっとねメディアの問題が出てくるんです。
服部 先ほどでも言いました。
玲沙 実はあのー私は最初それは、そこに座ってるうたたさんに聞いたんじゃないかって、気がしないでもないんだけど、サスペリアで、あのテケテケの、やっぱり学校の怪談流行ってましたから、描いたときに、テケテケっていうのがどういうもので描かれていたかっていうと、私の記憶なんでね、きっちり覚えてないんですけど、なんだかこういうようなものに、この辺に顔ついてるんですけど、こう手がついている。
− あっ
玲沙 こんなような。
− ああー。(ざわめき)
玲沙 こんな様なものに描かれていて、あれどうしてこれじゃないんだろうって思ったら、それは編集からまずいから描くなって言われた。だから妖怪に変えて描いたんだっていう。
− 障害者によくないからって。
− ああ。
玲沙 障害者を、あ、15分前まいりました。
服部 あと15分ですね。
玲沙 結局だから出せないんですよ。そういうものっていうのはね。(納得の声)メディアの世界では絶対出せないもので、手が切れたの足が切れたのっていう話は。でも実際怪談話っていうのは、偏見とかそれからそういうものを、昔から例えば顔の醜いものをね、こう蔑んだりとか、私それはねいけないって実は思ってないんです。あのーいけないって思ってると、思ってると怪談楽しめないしね、何て言うのかな、それが当たり前の世界なんですよ。そういうもので怪談は作られて、だからこそ表舞台には出なくて裏にいるわけです。
− うーん。
玲沙 私はそういう裏文化が好きなので、だからこそ裏にいるわけですよ。だからそれいけなくないんですけど、それをメディアとして表に出さなくちゃいけない。この場合どうするかっていうと、じゃあしょうがない、形を変えるかっていって、サスペリアに出た段階で、こんなような怪物になっていて、で、これはなんか「学校の怪談」て映画の紹介の時に出たイラストだったんですけどね、じゃあ「学校の怪談」どうなるんだろうって見たら、足まであるんですよ。
− ああ。
玲沙 ここまでしないといけないのかぁって、この段階でテケテケっていうのは一端途切れちゃうんです。テケテケ途切れちゃうんですよ。っていうのはこれでメディアが出しちゃいますよね。出しちゃった段階で、テケテケって意外と知ってる人少ないんですよね、なんかそういう感じなんでこの怪物がテケテケっていうのって一部なんですよ。そうすっとそれを逆にメディアが、そういう怪物を作ってしまったときに、このテケテケっていうのはちょっと切れちゃう。一端なくなっちゃう。メディアがどうしても違うってくるんで。と言うわけで今ちょっとテケテケっていうのは何となくね。
服部 うーん、でまぁ子供はでもテケテケを学校で見ましたって言ってくるんです。(爆笑)でもねさすが子供でもテケテケを見ましたっていっても妖怪だと見ると恥ずかしい。浮幽霊だと思いますけどって書いてあるんですよね。(爆笑)幽霊はOKなんですよ。
− 幽霊なら上半身しか見えなかったっていってもそりゃいいんだ、
− そうだよな、幽霊はたいがい下半身無いもんな。
− そういえばなんだかしんないけど、四つ足で走ってくる、猛烈に走ってくるババアですか、あれはそれの変形なんじゃないかな。ふと思ったんだけど。
服部 「速い妖怪」と「追いかけるもの」っていう、似たような感じのバリエーションで入ってくるんですけど、一応私たちが思うには、テケテケの原型は下半身がないっていうところ、
− だからメディアの方で足をつけた段階で、速い、誰かが言ってたんですよ、速く走るにはどうしたらいいか、動物だって2本足じゃなくて四つ足で走った方が速いんだから、そうなってんじゃないのって話があって、だからこういう話が出てくるんだろうなって、酒の時にしたことがあって、
− 口裂け女が流行ったときに、四つ足のババアの方が先にあったんよ、でもね、いつの間にかごっちゃになって、口裂け女が150qで走ってくる(爆笑)それはババアだろ!(爆笑)それは高速で追っかけてくるババアだろ!口裂け女じゃないだろって思ったんだけど、いつの間にかごっちゃにになってたんで、
服部 口裂け女が空を飛ぶって話は(大爆笑)
玲沙 もうすでに末期のアンモナイト。
− 名古屋の原型の話ってね、名古屋の精神病院に最後 が入っちゃうでところ落ちがつくんですけど、その精神病院の看護婦さんって人が、うちの病院で噂になってますって、どっかのフォーラムにアップしたんですよ。
玲沙 それ何の、え、何の話ですか?
− 口裂け女の原型の話があるのね。それはちょっと時間大丈夫ですか?
服部 ああ、ちょっとまぁ。
− 急いでやりますね。名古屋の有名なね、そういうのがいかにも出そうな場所に、そこの所にある雨の晩に、2ドアの車に乗って2人の大学生がいた、したら乗せてくださいって女の子が来て、いいよって乗せてあげて、1人が後の席に行って、助手席に女の子が入ってしばらくして、女の子が振り向いたら口が裂けたんで、あっと驚いて運転席のやつは逃げちゃった。で、しばらく逃げてはっと気がついたら、友達が2ドアなので逃げらんない。
(大爆笑)
玲沙 さいてー。
− しまった!って戻ってきたら、おかしくなっちゃってて、口が裂けてる女の子は先天的なそういうので、何度も手術したんだけど直んなかったとかっていって。で、僕らは深く信じ込んでましたから、その話聞いた女の子は5人目くらいの話で、だいたいHな話になるんですよ。で、その時酒の席だったんだけど、コンパだったんだけど、なにもねぇそんな病気の女が何をそんな雨のそぼ降る晩に、車乗ったりするんだ、人騒がせな、とか言って怒ってたというね。で、その話と全く同じ話がフォーラムに、どっかのフォーラムの会議の所にアップされてて、実は私そこの病院、名古屋の有名な精神病院、そこの看護婦なんだけど、うちの病院で噂になってる。うちの病院に入院してるらしいと言われてる。
玲沙 らしいと言われている。(爆笑)
− ただね、ただねその話を僕が聞いたのは、77年なんですよ。で、一般には79年にすごく流行って、元の話は78年ってことになってるんですよ。でも前の年にもあるんですよ。それが重要なんですよ。
服部 そうですね多分だからその1点から始まるものじゃなくて、いろんな話がある中から、ある時それがクローズアップされて、すごく伝播していく。何かの拍子にっていうのがあるんだろうと思うんですよね。そういうものは。ただ……
玲沙 もうちょっと。(笑)
服部 でその、都市伝説と現代妖怪の違いみたいなところでは、現代妖怪、テケテケとか口裂け女とか、名前があるっていう。(納得の声)これは恐怖もの、小説とかを読んでいる方は、すごくぴんとくるかもしれないんですけど、「名前をつける」っていうのがあるんじゃないか。で、ま、一応私たちは現代妖怪という風に呼んでいるんですけれども、仮に私なんかが呼んでいるだけなんで、他に通用する言葉じゃ全然ないんですけれども、これ一貫してやっぱ子供ですね。大人はやっぱり作り出せないものだなっていう。大人は噂話はいろいろ作るんですけど、さすがに妖怪は難しい。(笑)
− 名前が無いうちはまだ幽霊なんだな。
玲沙 まぁそうですね、私が言ったさっきの話も名前は無かったんですね。でもテケテケって言ったらもうテケテケであって、さらに学校にいると。(笑)
− 名前をつけることによって、
− あ、そうか!前にジャンプで「ぬーべー」ってあったじゃないですか。妖怪系のやつで、あれは学校に必ず出てくるじゃないですか。そこら辺から結局、
− 1人歩きして。
玲沙 あれでテケテケが出たときには、私がテケテケの話を聞いてから、2年以上たってます。
− ああ、
− あれは逆にあとから追いかけてる。
玲沙 そう、どっちかというと比較的「ぬーべー」後追いなんですよ。私の聞いた話の方が早くて、実は「ぬーべー」ずっと読んでたんですけど、(爆笑)全部後追いで、あ、今度はこの話か今度はこの話かって感じなんで、でもそこから確かに子供も逆パターンで派生して、またこう広げていくってことがありますんで、拡大再生産なんですけどね。そうやってメディアとあれは、お互いにこうなってるんですけど。
− あとは学校っていう集団の所に、そういう変なもの、怪談とかですけど、その都市伝説とか妖怪とか、どっかにいそうだっていう風な、思うことがあるっていうか、ほらきったないトイレとかの奥に花子さんがいそうとか、ああいう形で結局いそうな場所に作っちゃうっていうのがあるんでしょうけど。
玲沙 花子さん、必ず3番目のドアなんです。(爆笑)
− 学校の3番目のドアは汚いんですよ。(笑)
服部 3はけっこうキーナンバーなんですよ。不思議と。4が忌み数だっていうのはわかりやすいんですけど、4も出てきますけど、「4時ババア」とか、でも3、3本足の さんとか、なんか3っていうのがけっこうね。
− 3ちゅうのは安定性があるじゃないですか。三脚だって3本足で立ってるでしょ。2本足で立つ三脚は見たことがない。
玲沙 必ず右から3番目。
− 1番奥、たいがい4つぐらいじゃない?
玲沙 いやー、うちは10個ありましたよ。
− 忌み数は4で、あと9?
− あと4つぐらいで奥から2番目ぐらいが1番臭いってみんな思ったんじゃないの。(笑)
玲沙 なんか3っていう数字にも何かあるのかなぁ、それも集めたら面白いかなって思うんですけど。
− 8はあるじゃないですか。安定性の数で8。
玲沙 8?
− 8であんまり…やっぱし8はめでたいことですよね。
− 1、2、3、たくさん。
玲沙 49回ノックしたって話、私は聞いてますけどね。(笑)
服部 大きな数は子供には扱いきれない。(笑)
玲沙 3ですね!
服部 3が限界。(爆笑)
− 1、3、5、7、でしょ。
− あと100。
玲沙 七不思議はね。7も。8はわからない。とんで13。あ、5分前です。じゃ、そろそろ。
服部 そうですね。だいたい今までお話したようなことは、この中にかなりいろいろ書かれていますので、見ていただけると面白いと思うんですけど、ま、こっくりさんの話を全然しませんでしたね。
− あー。
玲沙 できませんでしたね。
服部 こっくりさんはね、あの何をやったかっていうと、「こっくりさん」っていう名前がやっぱりどう変化していくかっていうのが知りたかったんですね。(納得の声)で、いろいろ言われているわけですね。エンジェルさんとかキューピットさんとか、それについてのこともマンガ描かれてたりしますので、読んでいただければ。
玲沙 はっきり言って続行中ですので、(笑)ですから引き続き面白いことがあったら、ぜひ教えていただきたい。(爆笑)恐い話に限りますよ!(笑)
− 恐い話じゃなかったの?
− 面白い話になっちゃう。
玲沙 もしよかったらね。
服部 皆さん、これ持っていってください。
玲沙 出口の所にあります。
服部 どうもありがとうございました。
玲沙 どうもありがとうございました。
(拍手)